ハチ公クラブヘの信頼。
それはハチ公の古里
秋田県大館市にあることです。
秋田犬発祥の地。

眼に力があるか
 熟練オーナーともなりますと、生まれたばかりの子犬の顔を見ただけで、眼の力の有無を寸分の狂いもなく判断します。無論、その判断も長年の経験がものをいい、一朝一夕では到底身につきません。

 一つ、例をあげてみましょう。左の犬はカメラスケッチのページでも紹介しているオスです。秋田犬飼育歴50年、そして審査員歴20年の超ベテランオーナー犬舎の代表犬で、非常にダイナミックな犬です。これほどの犬にもかかわらず生まれたてのとき、「ずいぶん小さな眼だ。これじゃあ、展覧会では勝てない」と、ある審査員に嘲笑されたそうです。しかし、その審査員は成長した彼にデビュー戦ともいえる支部展で再会し、「あの犬がこうなったのか」といたく驚きました。もちろん展覧会では1席です。オーナーは、その審査員の誇りを傷つけまいと口には出しませんでしたが、「眼に力のある犬になることは、生まれたときから知っていたよ」と苦笑したのでした。

 その超ベテランオーナーが長年の経験に基づいて会得した、眼に力があるかどうかを見分ける技術を教えてもらいましたので、触りだけ披露してみましょう。展覧会にはまったく興味がなく、純粋に家族の一員として秋田犬と暮らす方々には眼に力があろうとなかろうと、まったく影響はありません。ここで論ずるのはあくまで、展覧会をベースにした話ですので、その点をご承知おきの上でお読みください。



底目と糸目

 まず左の3枚の写真をご覧ください。これは、青森県の向井正弘さんご家族のもとへ大館から2003年に旅立った桜号(メス)の、上から成長写真を再掲させていただいたものです。秋田犬の眼には何通りかありますが、ここでご紹介するのは子犬のときに小さな眼です。見抜く力がある熟練者は、一番上の写真を見ただけで「すばらしい眼をしてるなあ」と、ため息を洩らします。

 小さい眼には「底目(そこめ)」と「糸目(いとめ)」があります。底目は下まぶたに力強さが備わっているため、成長するにつれて眼そのものに力が増し、一定の年数になっても下まぶたが垂れることはほとんどありません。本部展最高の賞に位置づけられている名誉章を獲得した犬でも、数年後には当時の面影すらなく下まぶたが垂れ落ちている犬もいます。「それらは皆、底目でないからだよ」と超ベテランオーナー。下まぶたが垂れるのはおおむね血統からくるもので、垂れない血統と意識的に交配しない限り、子、孫へと遺伝する傾向が強いようです。また、それらの犬は生まれたときに少なくとも、小さな眼はしていません。

 では小さな眼の犬が底目であるかないかを、いかにしたら見分けられるのでしょう。これには、かなりハイレベルな技術を要するのですが、一言で表現するなら「底目は上まぶたに山がついている」と結論づけられます。改めて左の写真の上2枚をご覧ください。上まぶたに心持ち山状の形が見えませんか。これが大きな決め手となります。上まぶたに山状がないものが「糸目」で、どんなに良い血統でも眼に強さは望めないでしょう。

 一方、最も平凡なのが「どんぐりまなこ」と呼ばれるぱっちりとした眼。熟練オーナーはその眼を見ただけで、「これでは展覧会で勝てない」と判断しますが、面白いもので、素人さん向きの一番可愛らしい眼が「どんぐりまなこ」なのです。文字通り、どんぐりの形でぱっちりとしています。

 ここでは眼のみに焦点を当ててみましたが、秋田犬の審査箇所は、厳密には優に100カ所を超えます。わずかな時間の中で次から次へと審査しなければならないため、審査員はその犬の最も優れている点と劣っている点を柱に採点をつけます。その中で、眼は非常に強くアピールする力をもった部位で、眼に力のある犬は審査員にも大きなインパクトを与えます。力のある眼、まさにそれは勝利の決定打を放つ可能性を秘めた、最高の"武器"ともいえるでしょう。

 なお、ここで論じたのは主に赤色の秋田犬で、子犬の時点で虎は虎特有の、白には白特有の眼の形があります。中でも虎は、赤のような小さな目をした子はあまり見かけません。

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