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| 室内ではなく屋外を秋田犬の生活空間としている飼育者にとって、少し参考になる話をしてみましょう。熟練飼育者などが所有する秋田犬舎の多くは、きちんと開閉扉がついた鉄格子タイプです。もちろんホームセンターなどには売っておらず、鉄工所などに特注するのが一般的です。といっても、鉄工所ならどこでも製作できるというものではなく、秋田犬の特性をある程度理解している製作業者が好ましいでしょう。
犬舎の広さは、どの程度が妥当か。奥行きと高さが各1メートル、横幅1メートル50センチあれば十分で、「やみくもに広くする必要はない」と飼育歴50年のベテランオーナーはいいます。四方が格子状になっているタイプは、風通しが良いというメリットがあります。 ただ、駐車場の一角など半室内的な位置に犬舎を置く飼育者も、多く見受けられます。こうした立地に対して前述のベテランオーナーは「これだと真夏などに風通しが悪く、健康上、また毛吹きという点から好ましくない」という見解。審査員歴20年で、秋田犬界の草分け的存在であるこのオーナーは「真冬はどんなに寒くても大丈夫」といいますが、北国で積雪が多い時期は強い吹き込みを避けるため、犬舎の両脇と後方に覆いをかけるほか、保温性、衛生面から多くのワラを床面に敷き詰めています。 さて、広い空間を家の敷地内に確保できる環境にあると仮定して、日中広い空間で秋田犬を生活させる方法と、日中も犬舎の中に入れておく方法とでは、秋田犬にとってどちらがベターでしょうか。恐らく、多くの方が「広い敷地があるなら、何も狭い犬舎に閉じ込めておかないで、日中はのびのびと過ごさせたい」というのではないでしょうか。実は、前述のベテランオーナーは、まったく逆の考え方です。 いつも広い空間で暮らしている秋田犬は、いざ散歩をするときになっても嬉々とした様子が乏しく、日中自由に動き回っていることから散歩そのものにも強い関心を示さなくなってしまうとのことです。広い空間で散歩に近い心理状態にいつも置かれているから、と推察されます。これに対して、犬舎内が生活空間となっている秋田犬は、散歩や運動の時になると全身で喜びを表すかのように、力強い動きを見せます。 「1日中広い空間にいる犬は体全体に緊張感に乏しく、犬舎内で暮らして決まった時間に屋外で運動や散歩をしている犬は体から力強さを発散させているので、展覧会で審査をしてもその違いはすぐにわかる」と、前述のベテランオーナー。基本的に広い空間で暮らしている犬でも、展覧会が近づいてくると犬舎内での生活にシフトするオーナーもいるほどです。 ほかの犬種はどうなのか分かりませんが、こと秋田犬に関しては展覧会に勝つということは手塩にかけて犬を作り上げていくことが出陳者にとっての醍醐味で、どのような空間で暮らさせているかも勝敗の大きな分かれ目になるといえます。ただ、いくつかのコーナーでも触れているように、展覧会などまったく眼中になく家族の一員として一緒にいてくれるだけでいいという方々には、広い空間で暮らそうが、犬舎内で暮らそうが、さほど重要なことではないということになるでしょう。 |